綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

さびしんぼうでなければできないことを

お題「初めて一人旅をします。一人旅でよかった場所、一人旅初心者におすすめの旅行先を教えてください。」

 

ずいぶんたくさん一人旅をしてきた。

なんで一人旅をしてきたかというと一人だったからである。

ずっとひとりぼっちのさびしんぼうだったのである。

 

もしあなたがかつての僕と同じようなさびしんぼうであるならば、ひとりでしか出来ないことをしてもらいたい。

 

たとえばあなたが都内に住んでいるとしたら、ふらっと羽田空港まで行ってもらいたい。

そして空港ターミナルでふっと目を上げて、フライトボードを見てほしい。札幌、大阪、南紀白浜旭川、鹿児島、那覇・・・行ったことのあるところもあるだろう。県名さえわからないところもあるだろう。日本全国さまざまな地名がそこには記されている。

次に空席の有無を確認しよう。

「ああ、あそこ行ってみたかったんだよな」

「ああ、あの人があそこに行きたいって言ってたな」

そしたら行き先はもう決まりだ。

 

そこでまだ行き先に迷うようなら「空席のあるいちばん早い便」を下さいとカウンターでお姉さんに話そう。キョトンとされると思うかもしれないが、そんなことはない。そういうさびしんぼうは世の中にたくさんいるのだ。

 

お姉さんは「そうしましたら10時ちょうどのフライトで米子行きがありますが」と言ってくれるだろう。迷わず買え。「米子って何県だっけ」とか「米子ってなにがあるの?」とか考えてはいけない。まずは行くのだ。

 

行ったあと、どうなるか。

それは知らない。思っていたより遠くに飛ばされてしまい、旅費が尽きることもあるだろう。そしたらそのまま帰ってくるといい。

行ったあと、観光はしたものの泊まる宿が無く、仕方なくそこからさらに別の土地へ飛んで泊まったこともあった。

こんなこと、一人じゃないと出来ない。

 

もうすぐあなたの隣に誰かが寄り添う。

そうしたらもうそんな旅は出来ない。

だからいまのうちに飛んでお行きなさい。

そしてその大切な人にこの思い出を笑って伝えておやんなさい。

 

GachifloZ