綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

NO JIRO NO LIFE


こんにちは。今日はお休みです。

よほどいい夢を見たのか今朝はやたら機嫌良く、きゃりーぱみゅぱみゅちゃんの曲に下品な歌詞をのせて一人鼻歌を歌いカミさんとガールズに怒られていました。相変わらずバカです。

一昨年くらいからコツコツ進めている「日本全国二郎の旅」も都内23区店はほぼ制覇して東京近郊へと足を伸ばす事が多くなって来ました。ちなみに今日は相模大野。昔はなんにもないボロ駅だったのに今はものすごく栄えていて時代を感じます。

しかしいくら近郊とはいえ八王子やら西東京となりますと最早ぶらり一人旅の領域に近く、二郎そのものよりもそこに至るまでの旅程を楽しむことがメインになりつつあります。まあそれはそれで楽しい。見知らぬ土地を歩くのはとても素敵な時間だと思います。


二郎は「ラーメンであってラーメンではない。二郎という比類なき食べ物である。」とプロレスの表現を用いて例えられることが多いのですが正鵠を得ていると思います。
なんというか少なくとも単なる料理ではありません。あんなふうに呪文(アブラヤサイカラカラニンニクチョモランマ!等)を唱え、その後はただの一言も発さず、常人が目を背けるような物体をひたすら胃袋にぶち込んで行くさまはいわゆる食事風景とは一線を画しています。
苦しい。つらい。やめたい。もうダメですと叫んで逃げ出したい。圧倒的な質量はそれを一目見ただけで客の心を折る。もしかすると二郎は食べ物ですらないのかもしれません。

しかし、それでも、ジロリアンたちは決してあきらめない。最後まで戦うことをやめない。たとえ強烈なスメルを発し帰りの電車で一度は隣に座ったお姉さんがスッと席を立とうとも、今晩どれだけ激しい下痢に襲われようとも、全身が膨張しとても翌日のデートに耐えられない容貌になるとしても。それでも食う(ここは「バトる」とルビを振りたいところ)ことをやめない。ああ、これが修業でなくてなんなのでしょう。

自暴自棄。やけっぱち。あてつけ。この世への憎しみ、恨み、妬み、そねみ。その怒りを、悲しみを、全てのやるせなさをジロリアンは一杯のどんぶりに叩きつけるのです。
人はバカげていると笑うでしょう。あざけるでしょう。現実を見ろ、目を覚ませと言うでしょう。でもやめられない。いや、やめない。そんなこととっくにわかってるのです。

二郎に対して愛だの恋だのいくら言い訳をしたって無駄なことです。どうしたってバカな行為で、カロリー1600キロなんて非常識を超えた反社会的な行為です。お医者さまに見つかったらおしまいです。下手したら身も心もボロボロになり全てを失うというのに、それは十分わかっているのにやめられない。まさに麻薬。きっと何かにとりつかれているのです。

でもそれで得られるものも確実にあるのです。そこまで行ってはじめてわかる何かがそこには確かにあるのです。それはそれを知らない人には決してわからないのです。そしてそれはそれでいいのです。二郎を食べずに一生を終える人はきっとしあわせな人です。でも僕は二郎を食べている時、バカなこととはわかっていても「オレがいちばんしあわせだッ!」と思うのです。


会社への通勤途中、バス道路の右側に養護バスが停まる場所があります。毎朝僕がそこを通る時間になると障害者用車椅子に乗ったこどもたちがそこに集まります。同じ時間、その道路の左側には幼稚園バスが停まります。お互いバスが来るまでこどもたちを中心にママ友たちが談笑しています。ただ、道路を挟んでお互いのママ友たちが接する事はありません。お互いがお互いを見ないようにしている気がします。「せめて時間をずらせばいいのに」と思う僕はきっと差別主義者です。

こどもは天使だとか障害者は天使だとか言う人がいますが、僕はそんなもん嘘っぱちだと思っています。でも彼らの多くはこどもや障害者のために金や時間を使っている人で、少なくとも僕よりははるかにその人たちのためになることをしてくれています。
だけど無垢なことが天使の要件なら犬だって猫だってアメンボだって天使です。絶滅してしまったカワウソなんてきっと大天使です。だからそんなことを言う人はたぶんに物事を表層だけで見てるのだろうと思うのです。自分に見えるものだけで判断してるのだろうと。だから彼らが天使に見えるのだろうと。
僕には娘がいて天使だとは思いますがそれは彼女たちがこどもだからじゃなくて彼女たちだからです。

二郎をさげすむ人を僕は否定しません。健康に気を使うのは正しいことです。こどもを天使だと言う人を僕は否定しません。彼らを守り権利向上を推進させようとする行動は賞賛されるべきです。
でも、レールを外れてみないとわからない景色があることも僕は知っています。だから僕は途中下車の旅を続けるのです。何もせずただ座っていればきっと早く目的地にたどり着くことでしょう。でも僕は飛び降りずにはいられないのです。たとえ何も出来ないとしても、目を向けられることのない、救われることのない誰かを見つけるために。俺も一緒だよと、ただ一言それだけを伝えるために。

善行を どんなにしても 地獄行き。
以上、レポっす。チラ裏すんません。

GachifloZ
oooooxxxxx

(映画「CABIN」上映開始を待つ新宿シネマカリテ ロビーにて記述)