綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

長女の就職が決まりました

長女が「就職のことで相談がある」と言ってきたので「これは相当に苦戦しているな、コロナが終わりを迎えつつあるとはいえきっと世の中は厳しいんだろうな、なんつってもやっぱり親がこんなだからな、就職面接で「お父さんのご職業は?」とか聞かれて口ごもっちゃったりなんかして悪印象だったんじゃないかな、オレ友達いないから縁故採用してくれるようなコネもないしな、いざとなったら「俺が会社を辞めるんでそのポストに娘を入れてくれませんか」って社長に頼んでみるかな、俺はまあもうなんとでもなるからな、久しぶりに宅急便配達のバイトでもやるかな、ドライバーさん足りないって聞くしな、いやそれより清掃員とかのほうが実入りがいいかもな」などと一瞬にしていろんなことが脳裏をかすめました。

 

結果的には相談ごとというより「就職決まったよー」という報告で安心したのですが、それを聴いた時に自分が思ったのは、娘に対する祝福ではなく自分の就職が決まった時の親のよろこびようについてでした。

 

私の母は昔から結構な見栄っ張りで「ビリでいいから大企業に入りなさい」というタイプでした。父は逆で「大企業かどうかなんてどうでもいいからトップで入りなさい」というタイプでした。仕方ないので両方の顔を立てるために私は大企業の本社採用(トップかどうかはともかく)を目指して就活に励みました。

 

 

私の就職が決まったとき、親、特に父親がたいそう喜んでくれました。
もちろん私自身も嬉しかったんですが、あんなに喜んだ父の姿は見たことがなかったのでその時の光景が今も脳裏に焼き付いています。

 

そんなに喜んでもらった会社も10数年で辞めてしまいました。
きっとたいそう落ち込んだことでしょう。申し訳ないことをしました。

 

 


よく「親から受けた恩は大きすぎて親には返せないから子にその分の感謝を注ぐ」という話しを聞きます。本当にそうだなあと僕は常々思っていて、死んでしまった親父のぶんまで長女の就職を喜んでやろうと思いました。これ以上ないくらい、一世一代の大喜びをしました。
「なにもそこまで喜ばんでも」と長女が言ったので私は満足です。

 


僕がこうやって祝福することが(会えるかどうかわかりませんが)長女の子の祝福につながるかもしれないと思うわけです。

 


最近、子供を生むメリットがどうこうとか
しあわせにする自信があるとかないとか
未来が見えるとか見えないとか そんな話題をよく耳にしますが


きっとそういうことじゃないんだよ、命をつなぐっていうのは・・・

 


君がそこにそうしているということがその証明だよ
何も出来ない君を守った人がいる
その守った人を必死に守った人がいる

 

会社のある子が「自分の遺伝子なんて残したくないよ」って笑っていて
いやいや君の遺伝子は君だけの遺伝子じゃないんだよと
誰かが命をかけてつないだ遺伝子なんだよと


まあ
通じないかもしれないけれど
そう思ったりしていました。

 

言わないけどね。

GachifloZ