綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

vsヤクザ 終わりなき戦いの日々

お題「今まで仕事をしていて辛いと感じたことは何ですか?(職業も教えていただけると嬉しいです!)新社会人の私に色々教えてください☺️」

やっぱりヤクザと上司の板挟みになっていた時ですかね。
まあ今思えばヤクザというよりはヤクザを気取ったただの街のチンピラだったんですが。私も20代で若かったし。本当に嫌だったなあ。


私は当時ある大きな会社の期待のホープで(当然ながらその後については言わずもがなです笑)、若くして店舗を任されていました。
店舗は港区の白金という街にあり、私は聞き及ぶそのイメージから静かな街でハイソな奥様方をお相手にムッフッフ(!)なことがあったらどうしよう!と日々あちこち張り切っていたものです。


ある日、私の店の3軒くらい隣のヤクザが因縁を付けてきました。

内容は覚えていません。うるさいとかなんとかそんなことだったと思います。ほんとに言いがかりで、要するにショバ代とか迷惑料とかミカジメとか、そういう「アレ」です。

お店を任されているとはいえ単なる場末の雇われ若造店長ですから、ヤクザとしては格好のカモ。あっという間に追い詰められた私は当然ながら統括する支部の上司に相談しました。

すると上司は秒で「そんなものつっぱねろ、バカか!」とおっしゃられる。警察に相談しようとしても「企業イメージを考えろ!」と却下される。

 

で、20代の気弱なヲタクが(←私ね)ヤクザ相手にがんばってつっぱねるわけです。健気に怯えながら「そ、そんな要求は飲めませんッ!」とか必死に言い返すわけです。
で、相手は当然ながら執拗に嫌がらせをエスカレートさせてくるわけです。


それなりに頑張りましたが、チンピラなんて日本語が通じませんから問題は延々解決しません。
心身ともに耐えかねた私は何度も何度も上司に相談し、あの手この手で懇願し、なんとかヤクザとの交渉の場にその上司を引っ張り出すことに成功したんです。
「これで一安心、とりあえずここからは上司にヤクザ対応を任せられる」と安堵しました。

 


なんとか上司とヤクザのスケジュールを調整し、嫌がる上司を連れてヤクザのところへ行くと、直前まで「ビシッと突っぱねればいいんだよ!」と強気一辺倒だった上司は驚くなかれ一転して平身低頭、ヤクザに媚をふりまくり始めました。

「いやあ、〇〇(←私)がご迷惑をお掛けしているようで誠に申し訳ないです!」みたいな感じでした。あの時の漫画のような光景はたぶん一生忘れません。
ヤクザはヤクザで「本当に◯◯さん(←私ね)には困っていて・・・」と善良な市民口調になり、交渉の場は上司とヤクザによる2対1の私へのフルボッコショーになったのです。


事後、上司からは「いい人じゃないか、誠心誠意お話しして理解していただきなさい」と言われ、その日からヤクザは「てめえどういうつもりだこの野郎」と圧が一層強まりました。

裏切られるとか、逃げ場がないとか、誰にも相談できないっていうのは本当にあるんだなあ・・・と若い私はひどく心を痛めたものでした。

 

 

まあ、これがどういう解決を見たかはともかく、この時ばかりは本当に仕事が嫌になりました。遠い昔の話しですが、未だに白金・白金台あたりを歩くとムッフッフどころか最低最悪に気分が悪くなります。

 

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白金の話ではありませんが、いわゆる豪邸というのが多い別の地域を担当していた時、ある先輩に言われたことでとても印象深かった言葉があります。何気なく「僕らもいつかこんな豪邸に住みたいっすね」と言うと先輩はこう言いました。

 

 

「いい家に住んでいるヤツっていうのはな、運良くいい家に生まれたヤツか、悪いことをしてるヤツか、そのどちらかだよ。お前はそのどちらでもないだろ」

 

 

うん、そうかもしれない。

GachifloZ