綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

北へ還れ!(とってもカユいのである)

カユいんである。
頭の中もカユいんだけど、とにかく全身がカユいんである。乾燥肌な上にデリケートでセンシティブな俺の肌はカユいところをボリボリ掻くともれなく蕁麻疹が出てくる。カサカサ、ボリボリ、ボコボコだ。ましてやお正月にお餅を食べ過ぎて一気に体重(というより体積)が増えたせいでベルトの締め付け部分やらジーンズの太ももやらがムズムズして仕方ない。ムズムズ、ボリボリ、ボコボコだ。女体のことでも考えてる時は蕁麻疹も収まっているので結局は気の持ちようなのだけど、逆に言えば気にするとさらにカユさにターボが掛かるのだ。カサカサとムズムズにツインターボ装着だ。ああカユい。

カユくなったらやめられない止まらないので結局はカユくならないようにするしか解決策はない。キュレルで保湿をして、おせんべい食べるのを我慢して痩せるしかないのだ。

そういえば先日会社の研修で「従業員の安全第一、顧客サービスは第二、会社の利益は第三」という(よくある)話があって、それなら「お客様を守るために自らの命を張る従業員」は間違っているのかと考えていた。
若いころはもう絶対に間違っていないと盲目的ヒロイズムに酔っていたけれど、最近は「間違ってないけどやるべきことが違う」と考えるようになってきた。

「命を張ってお客様を守る」というのは尊敬すべき姿勢で立派なんだけれども、歳を食ったら「そんな状況にならないように全力を尽くす」姿勢こそがなすべき事なのだと考えるようになってきた。金を出すのも命を差し出すのも結局問題解決にはならない。カユくなってから掻く掻かないの是非を考えても仕方ないんである。

テロリストに金を払うか払わないかが国民を守る守らないの選択肢なのではない。政府のなすべきこと、国民が論じるべきことはそういう状況にならないように全方位に渡って配慮し、事前に周到な準備することだ。テロリストにどう相対するかなんて立場立場で全然違うし、万人が納得する正解なんてありゃしないのだ。

まあそうは言ってもこの状況での落とし所としては「我が国の姿勢として諸君らに身代金を払うことは出来ん。出来んが、捕虜に最低限の生活をさせるにもお金は掛かるだろうからそのための費用として◯億円を用意した。また我が国の姿勢を理解し、同胞を解放してもらえるならば、近い将来米英その他の周辺国が諸君らの殲滅作戦を講じた時、我が国は出来る限り平和的解決を図るよう強く進言することを約束しよう…ってとこか。うーんもうひとつくらい実弾つけないと無理か。 

ハインリッヒの法則というのは有名だが(1の重大事故の前には30の軽微な事故があり、さらにその背景に300のヒヤリがある、みたいなやつ)、実はこの法則にはバージョン2がある。それは「問題解決に掛かるコスト1に対し、見えないコストがその4倍発生する」というもので、例えば今回の件で言えば「身代金230億円払って問題解決したら、その裏で見えない別の920億円というコストが発生するぞ」ということになる。
念のため言葉を添えるけれど、この法則の真意は「だから230億円払うな」ではなく、「問題解決には1150億円(230億+920億)掛かるのだから、問題を発生させないためにそれを使いなさい」ということだ。

命は金に変えられない。俺は国家元首じゃないし単なるバカ親だから俺のガールズが拉致されたらなんとか俺を身代わりにしてくれるよう悪魔に土下座してお願いするし、お金じゃなきゃダメなら強盗でもなんでもして金を作って鬼畜に貢ぐ。でもそれは立派なことでもなんでもない。第二第三の誘拐を招く結果にしかならないんだから。俺がすべきこと、いや、出来ることはそんな覚悟を決めることよりもガールズが拉致されないように今すぐ万全を期すことだ。それだけだ。

さあキュエルを買いに行こう。
問題はついでにおせんべいを買うのを我慢できるかどうかだ。特売などしていないことを祈る。

GachifloZ