綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

ゾンビイ、その愛

それはいったい何時頃からなのか、自分でもわかりません。
それまでずっと単なるゾンビ好きだったんです。

 

一番好きなのはドーンオブザデッド(2004)。
言わずとしれたロメロの同名作品(1978)のリメイク作品です。

 

ある日突然理不尽に恐怖はやってくる。
逃げても逃げてもどこにも楽園はない。それでもただひたすら希望を求めて逃げ続け、ようやくたどり着いた安住の地もまた地獄だった・・・。

 

そんなゾンビの世界観はまさに現実そのもので、僕は最初逃げ惑う主人公たちに共感し、やがて襲いくるゾンビたちに共感するようになりました。

目的もなくただ喰らうためにだけ動き続ける存在。
モラルもなく罪悪感もなくただひたすらに欲望のままにうごめくだけの存在。理不尽に殴られ蹴られ裏切られ欺かれ・・・それでも生きるためだけに働き続けている自分をソンビに投影したのかもしれません。

 

いつしか僕は、何があっても「ゾンビだから痛くない」「ゾンビだから大丈夫」「ゾンビだから怖がることはない」
嫌なことがあるといつもそう唱えるようになりました。

とても楽なんです。
誰かより貧乏だとか誰かよりモテないとか誰かよりバカだとか。ゾンビになることでずっとずっと僕を苦しめてきたそういうものから解放された気がしたんです。


でも僕はいったい何時ゾンビになってしまったのでしょう。
あの時?それともあの時?あるいは記憶がないだけで晴れた青空の日の朝、軽トラにでもはねられてしまったのでしょうか。


ゾンビなのにいつしか定年を迎えるんでしょうか。
ゾンビなのにいつしか老衰で死ぬんでしょうか。
ゾンビなのにねえ。

 GachifloZ


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