綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

鎌倉へ鳩サブレーを買いに行った時の話

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この前鎌倉に行った帰り、電車の中で向かいの席がぽつんと空いていた。

その席の下には飲み捨てられた空き缶が立ててあった。

電車がガタンゴトン揺れるたびに缶は倒れそうになるも器用に倒れない。

 

次の駅で女の人が乗ってきた。

その向かいの席に彼女は座ろうとしたが、座席の下の空き缶に気付くときびすを返して他の席へ座った。

 

また次の駅で女の人が乗ってきた。

彼女は空き缶に気付かずその空いている席に座った。すると揃えた足元が缶に当たり、缶はカランコロンと転がった。彼女は空き缶を転がるままにしていた。

電車が揺れるたび缶はあちこちへと動き、彼女はバツが悪そうにその缶を再び席の下に立てて次の駅で降りた。

 

彼女が降りた駅で入れ替わりに女の人が乗ってきて、またその席に座った。

前の彼女と同じようにすぐ空き缶に気付いたが彼女は席の少し奥へ缶を置き直し、足元が当たらないようにして座り続けた。

二駅くらい過ぎて彼女は立ち上がり電車を降りた。手には座席下の空き缶を持っていた。

  

あらかじめ関わり合いになろうとしない人、

無関係だから我関せずそのままにしておく人、

無関係なのに手を汚して捨てる人。

 

三者三様。

でも生き方がわかるよね。

 

GachifloZ