綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

姿なき挑戦者

1号に「なんか中学校で流行ってるオススメの歌とかあったら教えてよ」と言ったらいろいろ教えてくれた。

1号も俺が聴く歌の傾向はわかってるからエグザイルだの西野カナだのは決して勧めてこないが、それでも(俺向けの曲なのだろうが)まったく未知の曲というのもかなり多くあって「これは知らない世界を覗けそうだ」と言われるままに聴いてみたりした。

その中で「↑人生ゲーム↓」というボカロ曲があって、人生をすごろくに例えた初音ミク曲なんだが、これなんかまさに若者版「戦え!何を?人生を!」というか、まさに若者版「ゾロ目」でビックリした。

流石に幼き頃より筋少曲を子守唄がわりに育ったマイドーターだけのことはあって、「すりこみというのは恐ろしいのう」と実感した次第。

ただ、「人生はすごろくのようなもの」という認識については同じでもやはり若者と俺らとでは視点がまったく違う。

若者はこれからの行く末を思い、迷い、遠い遠い「あがり」に対する期待と不安にさいなまれているが、俺らはもうすごろくをある程度進めてしまっているからだ。

人によっては「あがって」しまった奴もいるし、「あがり」が見えてしまっている奴もいる。俺だってまだまだ先行き不透明ながら、今からモテモテの長身イケメンにはならないだろうし、海外出張を繰り返すようなグローバル商社マンにはならないだろう。これから何者にだってなれる1号とは違うのだ。

俺らはこれまで進めてきたすごろくのマス目を振り返り「あそこで6が出たのは奇跡だったな〜」とか「あそこのマス目の罰ゲームはマジでひどかったな〜」とか思い返し、それでも人生なんとかなるもんだとわかってるから時折「ふりだしに戻れ」とか考えたりもする。

しかし若者は怖いだろう。「なんとかなるもんだ」なんて俺に言われたって信じられないだろう。ふりだしに戻ることは敗北であって挫折であって恐怖でしかないだろう。しかしそれはそれでいいのだ。


ももクロさんがオーケンの「労働讃歌」を歌った時もなんとも言えない「時空の旅人」感を感じたが、やはり回る回るよ時代は回る。1号も俺と同じように喜び悲しみ繰り返しすごろくを進めて行くんだろう。時代を映す音楽を聴きながら。

あともうひとつ。
1号は俺と違って友達たくさんいるし、直行帰宅部だった俺と違って日々部活動に励んでいるリア充人間だが、それでも同じことに迷い苦しむんだということがわかってよかったです。

GachifloZ