綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

世界一辛いカレーを食べてみた。


世界一になってしまった。

世界一である。気持ちがいい。実に気分が良い。何で世界一かというとカレーである。世界一辛いカレーを食べたので世界一なのである。つまりは60億分の1の男である。オレはカレー界のヒョードルとなったのである。


なんやかんやあって自分自身をステップアップさせるべく日夜バカな事…じゃなくて様々な事にチャレンジしている。
虚弱体質なのに筋トレしたり、バカなのにしちめんどくさい方程式解いたり長文読解したり脳トレしたり、音感ゼロの逆絶対音感野郎なのにひたすらギター練習したり、高所恐怖症なのに絶叫マシーン乗ったり、少食なのにラーメン二郎ニンニクヤサイマシだったりと、まあいろいろだ。

今日もその一環として本日の挑戦は猫舌なのにスペシャルホットホットなカレーである。それも世界一の激辛カレーだ。しかも開店ダッシュで席に着くなり「世界一辛いカレーください!ナンで。あ、あとラッシーも!」である。バカである…じゃなくて、あくなき挑戦者である。

席に着き程なくしてインド人の店員が一枚の紙を持ってきた。悪魔の誓約書である。「タバスコの401倍の辛さを持つカレーを食べて倒れても死んでも構わねえ、責任は己にある」と署名させられた。望むところである。400戦無敗のヒクソンよりも1つ上だ。

やがて目の前に現れたカレーは一見すると普通のインドカレーで、普通に美味そうであった。

だかしかし!
だかしかし!
だがしかーし!!

辛い!これは辛い!痛い!熱い!辛い!痛い!熱い!辛い熱い痛い辛い辛い熱い痛い辛い痛い痛い辛い痛い痛い辛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い!辛い熱い痛い辛い辛い熱い痛い辛い痛い痛い辛い痛い痛い辛い熱い痛い熱い痛い痛い痛い痛い痛い!ハヒーーーー!!!ハッヒィーーーーーーーーーーーー!!

最後は痛い以外の何物でもなかったが、とにかく脳内麻薬出っ放しである。エンドルフィン大特価放出中である。ドーパミンお値打ち価格でご奉仕中ある。A10神経接続絶好調、パルス逆流である。痛い。とにかく唇が、舌が、喉が痛い。しかし。だがしかーし!


「ごめんなさい、ちょっと食べられません」と言えば楽になる。それはわかっている。わかっているし、おそらくはそれが人として正しい判断だ。何も自ら好き好んで苦痛を招き込まなくてもいい。そんな奴はバカだ。それはわかっている。わかってはいるが……。

男なら、危険をかえりみず、死ぬと分かっていても行動しなくてはならない時がある。負けると分かっていても戦わなくてはならない時がある。
幼き頃にキャプテンハーロックを読んだことがある以上、逃げるわけにはいかない。逃げるわけにはいかないのだ。

脂汗が出る。変な汗が出る。顔が歪む。しかし私は負けない。あきらめない。逃げ出さない。自らすべてを放り出すことはあっても敵を前にして逃げ出すことはしない。我ながら鬱に走ってしまう典型的な性格だ。


私は勝った。
勝って得られるものなど何もない。無いけれど、戦わなければ自分が自分でなくなってしまう。最後まで自分は自分でありたい。

「そのうちこっぴどく痛い目見るよ」と人は言うけれど、そんなのすっかり慣れっこだ。既に何度も何度も痛い目見てるわい。その上でやってんだこっちは。

うーん、やっぱりバカは死ななきゃ治らないね。


GachifloZ

追伸その1
ちなみによみうりランドの激辛絶叫ホットドッグ&デスソースのほうが辛かったッス。(だめじゃん)

追伸その2
「何をしてもまったく駄目だという時がある。やればやるだけおかしくなるだけで、することなすこと無駄な努力・・・。そういう時、男は酒でも飲んでひっくり返ってればいいのだ」(キャプテン ハーロック