綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

「年相応」の話

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僕が就職したのはバブル末期で、当時の先輩社員から「年齢×1万円が年相応の平均的な月収だよ」と教わった。大学新卒なら22万円だから、まあ額面で考えればそんなに無茶苦茶な数字でもないように思えた。

これでいくと50歳の時には月収50万だからボーナス4ヶ月分として年収800万だ。これもまあ無茶苦茶とは言わないけれど、どうも「平均的」ではないような気がする。

 

僕が今お手伝いしている業界は残念ながら世間様でいうところの最下層業界なので決して「年相応」の年収ではないけれど、障害者がいて年金をもらえたり持ち家で家賃がなかったりするので相対的には「年相応」の暮らしがなんとか出来ている。

 


問題は精神的なところだ。

昨日も書いたし今日も書いたけれど、この厨二病気質だけはとてもとても「年相応」には程遠い。


早熟な子だったので、小学生の頃には50歳くらいまでの生活設計を思い描いていた。子供の考えることだから、○○大学を出て一流企業に入ってきれいなお嫁さんをもらって女の子ふたり産んで、みたいなかわいいやつだ。

もちろん聴く音楽はジャズやクラシックで、趣味は絵画や海外旅行だ。会社では部長さんとかいう偉い人になって、夜には接待とかいうやつで「老舗の料亭」に行ってフグを食うのだ。それからバーとかいうところでお酒を飲む。休日には書斎で猫を膝に乗せて細かい文字ばかりのぶ厚い革の表紙の本を読む。そんな感じだ。

 


それが実際どうなっているかといえば、聴くのは筋肉少女帯ももクロで、読んでる本はミステリーか肩の凝らないエッセイ本ばかり。住んでいるマンションはペット禁止で書斎どころか自分の部屋もない。

でも、悲観はしていない。

社用で連れて行かれた料亭なんてぜんぜん味がしなくて「早く帰りてえなあ」とずっと思ってたし、退勤後にひとりでかっこむ吉野家のほうがよっぽど美味しかった。バーで呑んでるより家でプロレスを観てたほうが楽しいし、ベランダの鉢植えで薔薇を育てるのはお金もかからなくてしかもとても優雅だ。

 


僕が今、後輩社員の誰かに「平均的な月収っていくらくらいならいいんでしょうかねえ」と言われたらやっぱり「年齢×1万円くらいじゃね?」と答えるけれど、それは目標というかあくまでも単なる指標のひとつでしかなくて、人の倍稼いでるからしあわせなわけじゃないし、人の半分しか収入がなくても楽しく生きている人はたくさんいる
。だからむしろ「年齢×1万円」を念頭に置きながらも自分が楽しく充実している生活を送れてたらそれはそれでいいんじゃねーの、と思う。


ほんと妬みにしか聞こえないの承知で書くけど、金持ちでしあわせそうな人を僕は一人も知らない。みんないつも不機嫌で、まわりはおべんちゃらしか言わないコバンザメばかりだし、いつだって人を疑っていた。

 

「男子たるもの年相応に!」とは常々思うけど、僕は今の環境がいいなあ。

料亭行くならデートで行きたいわ。
どんな環境であっても、その中で楽しく刺激的に生きていきたい。

心からそう思う。

そう願う。

 

GachifloZ

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