綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

悪魔の手毬唄な朝

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リハビリ日記。

この前、会社に出勤途中トボトボと肩を落として歩いていると、むこうから今時めずらしく腰の酷く曲がったおじいちゃんが杖をついて歩いてきました。

どれくらい曲がっているかというと、「悪魔の手毬唄」に出てくる老婆くらいグイッと曲がっているのです。それはそれは直角二等辺三角形の定規のごとき実に見事な角度でしたが、今はまだナウでヤングな新米おじいちゃんである僕は「あれが近い将来の自分の姿か」と思ってしまい、なかなかに切ないというか、正直なところ「やだなあ」と思ってしまったのです。

でも、でもですよ。

10代の僕が今の僕を見たらきっと「ああはなりたくないものだ」と感じると思うんです。
髪は薄くなるわ鍛えても鍛えても筋肉はつきにくいわ、逆に油断すればあっという間にブヨブヨになるわ、なにより気力は続かないわ。

だけど今の僕は今の僕のことをちっともお気の毒だとは思っていません。むしろ10代20代の自分をこそ「お気の毒に」とか思っちゃってるわけです。だって今のほうが100倍しあわせですから。

そう考えると、あの直角三角形老人は実は今のオレの1000倍シアワセであるのかもしれません。1000倍シアワセなおじいちゃんが腰をグイッと曲げながら、1000倍不幸な今のオレを見て「毎日毎日あくせく働いてお気の毒に」と思ってるのかもしれません。

勝手な思い込みで他人を気の毒がったり、哀れに思ったりすることのなんたる愚かさよ、とつくづく思ってしまう秋の朝なのでした。

ちゃんちゃん。

 

GachifloZ