綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

カリフォルニア物語


Green Day - Basket Case [Official Music Video]
 幼少のみぎりから卒業式と冠される場で泣いたことがない。単純に心が壊れているからだと○十年思い込んできたが、どうやら違うらしいことが最近わかってきた。

 今日も今日とて仕事中にサボってこれを描いているわけだが、午前中がんばってお仕事をした自分へのご褒美として給湯室のお菓子をつまみ食いしたらこれがもう不味いのなんの。フィナンシェだったんだけど、もうこの世のものとは思えないほどパッサパサ、いやバサバサで思わず吐き出してしまった。おえおえおー(T_T)。


 これもそれも昨日寝っ転がりながら観た聖飢魔II特番「地球デビュー30周年記念・期間限定再集結・大黒ミサFINAL」のせいだ。いやベビメタちゃん久しぶりの新MV「KARATE」の呪いかもしれない。いずれにしても悪魔憑きキツネ憑きの類には違いないものの、仕事のご褒美がクソ不味いバッサバサのフィナンシェというオレの人生はいったいなんだろう?本当に寂寥とした砂の味がした。

 

はてさてそんなことはともかく、先日とても前驚いたことがある。
音楽というのはとても不思議なもので、十年ぶりだろうが二十年ぶりだろうがとにかく久しぶりにその曲を聴くとその時の情景が鮮やかに蘇ってくる・・・と俺はずっと信じてきたのだが、どうやらそれも人によるらしい。
この前夕食後にガールズたちと「冷凍庫内に残されたカミさん(全国巡業中)のジャイアントコーン争奪イントロドンをやっていた時、「ももクリ2012のOPで流れた洋楽」とか「ももクロ夏のバカ騒ぎ2013のEDで流れた洋楽」とか、子供が印象深く覚えているであろう曲をセレクトしたところ全くわからない上に、解答を出してもポカーンとしてやがる。「ほら、入場が1時間押しになったSSA覚えてるだろ?!このメロディ聞いたらあの暑かった西武ドーム思い出すだろ!?」と言ってもぜーんぜんわからないのだ。えっオレだけなの?!

 

いろいろ調べいろんな人に話を聞いたところ、どうやらこれは人によるらしい。
人によっては記憶を呼び覚ますものが音楽だったり、助手席から見た道路標識だったり、手紙についた香りだったり、隆起した二の腕の触感であったり、愛情込めて握ったおにぎりの塩味であったりするらしいのだ。かくいうオレだって「むむッ!この味は1993年三ツ沢球技場で食べたじゃがべえの味!あの時の大観衆大声援、果ては悪魔の左足、エドゥーの40mフリーキックの味ッ!」と微妙に間違ってるセリフを海原雄山に言われても「ああ、そうです・・・かね」としか返しようがない。そしてミジンコほどの感性も無いゲスの極みジジイと思われてしまうのだ。ああ悔しい。

 

卒業式でぽろぽろ泣く人間としらーッとする人間がいるが、実はそれも似たような構造であるのかもしれない。感動を呼び覚ますファクターが送辞の人もいれば帰り道のアスファルトの裂け目だという人もいれば二度と着ることのない制服を脱いだ時に感じた綿の感触だという人もいるのだ。

 

人はみな違う。卒業式で泣かない人が皆冷たい人なわけではなく、感性の鈍い人なわけでもなく、もちろん障害やらなんやらでもなく、それは単なる「違い」だ。「私ってばきっとなんちゃら障害なのだわ」とか「きっと心が壊れているのだわ」「人生って一体何なのよ」と私のように可愛く思い悩んでいる全国一千万の美人妻のみなさんの肩を優しく抱きながら耳元で「大丈夫だよ」お甘いミンティア味の吐息を吹きかけながらささやいてあげたい。そしてもしも男で同じように悩んでいる人がいたらやはり心配するなと声をかけてやろう。「キミの場合は単なる無神経もしくはノータリンだ」と。

 

と、そんなこんなを考えつつおうちに帰り、夕食時に「実は今日は一日かけて大学受験と高校受験の違いについて調べておったのだが・・・」と嘘八百を並べると食卓にいた全員から一斉に「仕事しろよ!」と怒られてしまった。ううぬ、カミさんはともかく年端もいかぬ小中学生に「仕事しろよ!」と怒られ涙にむせぶオレ・・・今日も空が灰色だ。人生とはいったいなんだ?

 

GachifloZZ
今週のお題「卒業」