綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

V3から来た男 (愛しの卵かけご飯)

新年はおめでたいもので、初詣にしろお年玉にしろうきうきすることが目白押し。
ただひとつのことを除いては・・・

まさに鬼門、羅生門、地獄のロッキンホラーショウとも言える「義父母宅新年参り」である。

つらい。これがとてもつらい。なんでこんなにもつらいのかというと、やはりそれはロクな稼ぎもないからであり、俺が対人恐怖症であるからであり、絶対的なアウェイであるからである。

義父母宅参りとは言ってもカミさんの親類縁者も集まるので、「やーやーどうもどうもご無沙汰しています」からの「最近お仕事のほうはどうですか」が連続コンボ攻撃でやってくるのである。同窓会なんかもそうなんだろうけど(行かないからわからないけど)、出世競争というか豪勢な暮らし競争というか、そういう物理攻撃の攻防が繰り広げられるのである。
やれ「ドイツに出張した時にさあ・・・」だの「うちのベンツももう車検だから買い換えないと・・・」とか言われても、こちとら熱海にだって出張しないし、愛車は10年落ちの国産中古ミニバンだ。家にあって親族の皆様宅にないものといえばゴジラのソフビとかオーケンのサイン本とか、そんなんばかりだ。「株で大損だよ、ワッハッハ!」とか言われてもちっとも笑えない。最初に株券買う金が無いわい。

障害者福祉のお仕事というのはみんな知ってるから、口々に「大変ねえ」「ご立派だわあ」とか言ってくれるのだけれど、素直に受け止められない。卑屈になるばかり。
もちろん卑屈になる必要なんて本当は全くないし、実際今のお仕事は大好きだし、やりがいもある。でもお金はない。愛と勇気と工夫でやりくりしているけれど、お金があるに越したことはない。株でお金を稼ぐことを否定したりしないけど、やっぱり僕は誰かに喜んでもらえるような仕事のほうがいい。どんなにお金がもらえても子供が起きる前に家を出て、子供が寝てから帰宅するような生活はもうこりごりだ。

東京ドームでライブが出来る大御所アーティストもすばらしいけど、高田馬場Areaを熱狂の渦に巻き込む若手アーティストだってすばらしい。フォアグラもトリュフも大トロも美味しいんだろうが卵かけご飯だってバカみたいに美味い。それはわかっているんだけど、やっぱり収入が低いのは少し恥ずかしい。

金が欲しいんじゃない。ステータスでもない。恥ずかしいのが嫌なんだ。そして恥ずかしいと思っているのはたぶん親類縁者の中で僕だけなのだ。マトリックスの世界から解き放たれたい。

GachifloZ