綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

湖のひみつ

寒い。とても寒い。
「冬らしくてとてもいい」とも思うが、そりゃ東京にいるからで、寒冷地のほうでは街がホワイトアウト状態で死者まで出ているという話。
どうぞみなさまお怪我などなさいませぬよう。

ホワイトアウトとはちょっと違うが、さっきのんびりお散歩してたらちょうど沈みかけた太陽の光がビルの合間から差し込んで全く前が見えず、体感的にはまさにホワイトアウト状態となった。
目の前が真っ白で、まさに光の海。ウルトラマンの変身シーンだってこんなにまぶしくないだろうというくらいのジャストな角度でまばゆい光が僕の瞳を直撃していた。

まあ近所の通りなれた道だし、車通りのないところだったから僕は気にせずそのままずんずん歩き続けたのだけれど、やがてその光の先から幼女と老女の会話が聞こえてきた。

こちらがその存在を意識しているわけではないからか、あたかもそれは環境BGMのようで会話の内容についてはまったく頭に入ってこない。こないのだけれど、楽しげに笑い続ける幼女の声とおだやかに答える老女の声がとても美しく、僕はなんだかすごく不思議な気分になった。

目の前に何も見えないのに、確かにそこにいる。
目に見えないのに美しいってどういうことだ?

妖怪ウォッチ零式を持っていれば何かしら見えたのかもしれないが、あいにくトイザらスでも売り切れらしいし、さしものiWatchにもその機能は今後とも搭載されないだろうから僕にはその正体を知ることが当分できそうにない。

あっ、でも逆はどうだろう?
目の前に間違いなくいるのに、そこにはいない。
目の前に間違いなくいるのに、その存在を誰にも気付いてもらえない。

ああなんか自分がシックスセンス状態だったらどうしよう。
そんなことを考えながらたまにはキーボード叩かなきゃと瑣末な日記を書いている夕暮れ前。
今日の夕飯はシューマイを作るのです。

GachifloZ