幸せだから笑うんじゃないよ 笑うから幸せになるんじゃ
映画が好きなんである。
好きなんで、できることなら暇さえあれば映画館の暗闇の中で人目をしのんで日がな過ごしていたいところであるが、貧乏人なのでそうもいかない。昔のようなロードショー落ちの作品3本立てみたいな名画座もすっかりなくなってしまった。仕方ないのでhuluを契約して日がなお家のカーテンを閉め切り、ご自慢の5.1chサラウンドシステムを使って映画を観ているんである。
昨日だかおとといだかからhuluに映画が追加され、久しぶりに「銀河鉄道999」をガールズ2号と一緒に観た。1979公開だからもう35年も前の作品だ。俺もおじいちゃんになるわけだ。「カリオストロの城」や「ビューティフルドリーマー」もそうだけど、このころのアニメ映画というのは本当になんというか「手作り感」満載でとても良いんである。絵を描きたくなる。
今敏監督も細田守監督も新海誠監督も好きで本当にいいなあとは思うんだけど、やっぱり俺は出崎統監督の時代が好きなんである。
しかし、思えばこの映画は一人で新宿まで観に行った記憶がある。1979と言えばさすがのおじいちゃんもまだ相当ちっちゃかったはずだが、要するに相当にちっちゃい頃から俺はひとりぼっちが好きだったのだろう。
一方でガールズ1号が中1だというのに彼氏が出来たらしく、すっかり家族行動から疎遠になっている。放課後も帰って来やしない。常にiPhone片手にLINEなどをやっている。完璧な不純異性交遊である。積み木崩しである。誠にけしからん。
俺もカミさんも相当な大人になるまでカレシカノジョなんて出来なかったクチだから、中1女子のリア充っぷりに親としてどう対応していいかさっぱりわからん。とりあえず「依存しすぎるな」とだけ言っている。「自分以外のなにかを人生の中心に持ってくると本当につらいぞ」と言っているが、どこまで伝わっているかは不明だ。
俺の中学生時代と言えば、学校が終わるとまっすぐ家に帰ってドラマやアニメの再放送を観たり絵を描いたりして過ごしていた。金曜ロードショーで映画を観てはドキドキしまくり、大切なことをたくさん教えてもらった。
たまには寄り道もしたけれど、それはゲーセンやマックで気のおけない友人と笑って過ごすといったものではなく、古本屋でひとりデビルマンを立ち読みしたり、神社の砂利道で自転車の後輪をすべらせ「ううぬ今日の四輪ドリフトは完璧!(四輪じゃねーよ)」とひとり悦に入っているといったようなものだった。
誰かと交わることが嫌いで、男女交際というのは映画の中だけの出来事だった。そんな俺であるからして、娘の気持ちがまったくわかってあげられない。せめて腐女子になってくれればカミさんがわかってあげられたのだが、両親揃ってなんの恋愛アドバイスもできず誠に申し訳なく思う。
だからせめて1号にはいい映画を観せてやりたい。俺は何も教えてあげられないから、映画からなにかを学んでほしい。「アオハライド」とか「デビクロくん」とかそんなんじゃなくて、ゾンビ映画を観て「人生どこに逃げても同じ」ということを教えてやりたい。青春映画ならどうしようもない無力感や閉塞感を感じ、それでも生き抜くやるせなさを感じるような映画を観てほしい。「君に届け」を観たら焦げ死んでしまうような青春だって青春なんだと知ってほしい。
あー、なんだ、俺は結局娘を「理解してやりたい」んじゃなくて俺を「理解してほしい」んだ。今気付いた。
映画って本当にいいですね。
GachifloZ
P.S.
ちなみに今一番期待している映画は「くるみ割り人形」でござる。
できることなら本職声優の方々に演じてほしかったけれど。
http://kurumiwari-movie.com/