綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

アカツキ


三日坊主である。
毎日日記を書こうと決意したのにきっちり三日で止まってしまった。

我ながら見事なまでに三日坊主である。まるで大阪府立体育会館でのタイガーマスクvsブラックタイガー戦におけるフィニッシュ技の如き絵に描いたような見事さである。あまりの見事さに意味もなくクスクス笑ってしまう。
「ノーベル三日坊主賞」があったら相当有力候補なのではないだろうか、俺。少なくとも村上春樹よりは早く受賞出来るような気がする。


会社帰り、地下鉄のホームから地上に出ると駅前に人だかりが出来ていた。
月蝕を見ている人の群れだった。
ちょうど月がいい塩梅に欠けていて、「今まさにグッドタイミング!」という感じであったが、僕は綾波レイのような赤い月よりもそれを見上げている多くの人々の姿のほうがなんとなく面白くて、クスクス笑ってしまった。何がおかしかったのかはわからない。

帰宅して筋肉少女帯の4年振りとなる新譜「THE SHOW MUST GO ON」をiMacに入れた。小4の2号ちゃんは「これ、ももクロちゃんのパクリ!」と怒っていた。僕はやっぱりクスクスと笑っていた。


感性がむき出しになっている。些細なことで感動し、意味ないことで笑っている。しかし不思議なことに怒りや悲しみ、不安に押し潰されるような感覚は襲ってこない。なんでだろう。

くだらない世の中、くだらない毎日。だがしかし、恋人を想いながら秋の公園を散策するような気分で毎日を過ごしているのも事実だ。

単なる偶然に過ぎない様々な日々の出来事があたかも全て神様の思し召しに思える。不運な出来事もボリボリ痒くて仕方ない蕁麻疹でさえもなんとなくクスクス笑える。
世界中が「お可哀想に」と僕を哀れんでも、「いやおかげさまで素晴らしい世界を見ることが出来ています」と言い返せそうな、そんな不思議な毎日だ。きっと疲れているんだろう。明日は海でも見に行こう。

そういえばタイガーマスクvsブラックタイガーのフィニッシュ技は「ムーンサルトプレス」だった。出来過ぎだ。


GachifloZ