綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

マキシマムザホルモン(ぴあフェス)雑感


なんというかこだわりというか遠慮というか、そういうのがあってマキシマムザホルモン神聖かまってちゃんのライブだけは行かないようにしていたんです。「これらは若い人が行くべきライブであって、最早アラフィフの領域に達しこれから仙人とならんとするおじいちゃんが行くべきところではない」と、ずっとそう思っていたんです。

子供に絵本が必要なように若い子にはホルモンとかまってちゃんが必要なんだと、ずっとそう思っていたんです。今もその想いはあんまり変わらないんですが、今回初めてホルモンのライブに実際に参加してみてちょっと考えが変わりました。おじいちゃんが参加してもいいじゃないかって思うようになりました。

僕の中のホルモンのライブというと「全身刺青&ピアスで目つきの悪すぎるゴツい前科持ちもしくは特等少年院出身の連中が押し合いへし合い殴り合い蹴り合い、はっきり言えば果てなきド突き合いを繰り返し、終演後には数人が再起不能に!ライブ途中での行方不明者は数知れず、実はライブハウスの更に地下で極秘裏に処理が・・・」という想像をしていました。
うっかりメガネなどしていった日には一瞬で奪われ折られるか踏みつけられ更にはその割れたレンズを凶器としてザ・シークばりにグサグサと二の腕に突き立てられてしまうような、そんな印象を持っていたのです。

僕の世代は豚や鶏の臓物を撒き散らかし血しぶきを上げ、ステージでゲロを履いて汚物を撒き散らかしブルドーザーで会場の壁を壊して会場入りするという、そういうのがライブハウスの主流でした(?)から、平成、いや21世紀のライブハウスともなればそれはそれはさらに進化したキチガイ沙汰満載の地獄絵図が繰り広げられているのであろうとワクワクしていたのです。そしてそういう場所はやはり若い子の聖地であって、おじいちゃんがウロウロしていい場所じゃないと思っていたのです。

結果から言うとそれらの想像は概ね間違っていなかったものの、思ったよりずっと洗練されていたライブでした。生き血は飛び散らないし、臓物も飛んで来ませんでした。やっぱり時代ですね。なんというかオシャレなんです。特に意外だったのは女性の多さとマナーの良さ。女性もいるとは思っていたものの、想像よりかなり多かったです。あと年齢の幅も広かった。男は若い子ばかりだったような印象を受けましたが、女性はソレナリの方もちらほらとお見受けしたような気がしました。

マナーというのは厳密に言えばマナーというより優しさというか気風というか、モッシュモッシュしていて倒れた人をなんと客同士で助け起こしているんですよ!これは本当に意外でした。僕はもう倒れたヤツは即座に顔面を踏みつけてOKの初期アルティメットルール(ヒジあり頭突きあり、ただし凶器は栓抜きまで)とばかり思っていましたので、「大丈夫?」とばかりに起こしてやっている若い子たちを見て「ええっ、マジか!?お年寄りに優しい筋少ライブとは違うんやで!」と目を丸くしてしまいました。いやほんとビックリ。

そういえば以前ももクロちゃんのライブに初めて行った時、頭上に振りあげたペンライトが隣の人のと当たって、それまで「ガナゴォォォォォ!!」と叫んでいたハッピのお兄ちゃんに「あっ、スイマセン!」と頭をペコリ下げて謝られた時以来のビックリでした。あの時も「い、今の子はライブハウスで振り上げた拳が当たっていちいち謝るのかっ!?」とひたすら驚いたのをよく覚えています。

考えてみればももクロちゃんやホルモンに限らず今のライブハウスのお客さんはみんなスマートです。こちとら「煙草の煙がモウモウとして酒とゲロの臭いのしないライブハウスなんてライブハウスじゃねえ!」な世代ですから、やっぱりちょっと自分の感覚が申し訳なく思ってしまいました。一世代下のカミさんですらライブハウスに行ってアバラ折って帰ってきたくらいですから、時代はやっぱり変わったんですね。きっと良いことなんだと思います。

そこらへんのルールだけ理解できたらあとは全く問題なく馴染めました。強いてあげれば首だけを激しく振るヘドバンに慣れすぎているせいで、ホルモンのように腰から折るヘドバンと最初のうちタイミングが合わなかったことくらいでしょうか。あとは別にだいじょうぶ。すごく楽しく過ごせました。幸せなひとときでした。あー便乗Tシャツ欲しかったなー。便乗返しTシャツ買えたからまあいいか。次にツアーがあったらまた参戦してみたいと思いました。楽しい思い出をありがとう。

GachifloZ
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