綾鷹カワウソ妄想譚

一生涯の愛をこめて

楽園はどこにある

こんにちは。

この前の休日、誰も家にいないのをいいことに一人手慰みをしていたらガールズ1号が突然帰ってきて、しかもあろうことかピンポンも鳴らさずいきなり家の中に急ぎ足で入ってきやがるもんだから危うく淫らな姿を見られてしまうところでした。あぶないあぶない。まったく油断も隙も無いヤツらだぜ!


しかしどうして子供というのはああもドタバタと家の中に入ってくるもんかね。全く親の顔が見たいよ!ああオレか。


子供の頃は大人の目におびえて一人手慰みをし、大人になったらなったで今度は子供の目に怯えて一人手慰みをする。まったくどうなっているんだ俺のビューティフル手慰みライフは!いったい楽園はいつ訪れるんだ。

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と、ここまで書いて「あれ、でもオレ一人暮らししてたのにな・・・」と気付いて、ついでに嫌なことも思い出してしまった。



『一人暮らしとはいえ実はメス猫(隠喩)と暮らしてたんだったわwとか言うんでしょ、このムキンポーッ!』と毛細血管が切れそうになっているそこの美人妻のあなた!話はそんなに単純なことではないのです。つーか物事はすべからく平坦ではなく、裏があり、肯定するためにまず否定するなんてのはよくあることなんです。物事をまっすぐ受け止めすぎると心が壊れますから気を付けてくださいね。まあ、一切真正面からは受け取らない男もどーかとは思いますがね。ああこれも俺か。



閑話休題、一人暮らしをしていたのに思う存分手慰みが出来なかったのはそこがスラム化していたからです。都心のどまん中のスラム。僕はそこに住んでいたのです。


念願の一人暮らしとはいえ、18の頃でアルバイトすらろくにしたことがないボンボンでしたからとにかく金が無い。チャリで探して探して見つけた物件は凄まじいものでした。いやあ、ある所にはあるもんなんです。

人生の記念碑たるべきマイスィートシングルライフのスタートとなった住まい。それは築年数が大家でも不明(30年超えは間違いなし)、共同トイレに共同キッチン(もはやこの「共同○○」という言葉そのものが読者の皆さんには理解してもらえないと思う)、もちろん風呂なし、木造、北向き、おまけに部屋の鍵は南京錠(3つ数字あわせて開ける百均にあるやつ)、間取りは6畳ひと間、押入れ付き!ただし半間ねw・・・という凄まじい物件でした。
ちなみに家賃は22,000円(管理費共益費等込)。


ただ、「いくらボロとはいっても一人暮らしは一人暮らしじゃん」と思ったそこのOLさん!甘い!甘すぎます!

人はパンのみに生きるにあらず!いや、人が払うべきは家賃のみにあらず!ごはんも食べたい、たまには風呂にも入りたいものなのです。しかし金がないッ!!

飢えた僕はとにかく誰かれなく「たかって」いました。小学生からお金をまきあげるとかじゃないですよ。大学の先輩に「先輩ッ!ボクは先輩の人生訓をまた聞きたいでありますッ!」くらいのことを夕方に直立不動で申し出るわけです。そうしたらたいていの先輩は「そうかそうか!」となるわけです。そんで大抵おごってくれるわけです。
僕は当時それで食いつないでいたのです。


お相伴にありつくためならなんでもやりました。なるべくご迷惑をお掛けしないように安い酒でいかに酔うかもいっぱい考えました。チューハイ一杯飲む毎にちょっと外に出ては100mダッシュをしたり。ビール一杯飲むたびに逆立ちでの腕立てをしたり。空きっ腹だと酔えるという噂を聞いて絶食して酒を飲んだり(全部実話)。ここまで書いて気がついたが、食料目当てにお酒の席に付き合っているのに絶食してどうする!?若き日の俺よ!



まあそんなこんなで先輩にたかっては口に糊してた若き日の僕でありますが、今思えば先輩が僕を毎日連れてってくれたのは僕をかわいがってくれたと言うよりは、「こいつを連れていけば終電が無くなってもタダで寝れる」というその一点だったような気がします。どんなボロでも一応都心のど真ん中だったし。セキュリティゼロでいつでも入れるし。カプセルホテルだってマンガ喫茶だって数千円しますもんね。


モラルというものはどんどん崩壊していくもので、僕のアパートはやがてスラム化していきました。バイトが終わって家に帰ると見知らぬおっさんが俺のベッドで寝ていることもありました。異臭がして、腐乱死体かと思ったらその男が目を覚ますやいなや「お、お、キミがGachiflo君か?僕は○○といってキミの先輩のA君の友人だ。つまりキミの遠い先輩だ。ここへ来れば寝れると聞いてね。いや助かったよ!」
・・・遠い先輩ってどんな先輩だよ!


こんな人が一人、またひとり増え、夢に見たスイートシングルライフはスラムドッグビンボー長屋ライフと化していったのであります。

・・・こんな状況で手慰みが出来るかあああっ!!
うう、いやなこと思い出しちゃった。
人生素敵な思い出ばかりだといいのにな。
今日も生きててごめんなさい。


GachifloZ
oooxxx